音円盤アーカイブス(06年2月3月)

PAOLO DI SABATINO
HALLWAY RECORDSから1999年にリリースされたイタリアの人気ピアニスト(レア本にも掲載されていましたねぇ。)のデビュー作品。
この1,2年ようやく我が国でも人気に火がついたファブリッジオ・ボッソが参加しているのが今から思えば、この作品の肝とも言えるでしょうか?
それもワンホーンで演っているのですね。
これがレコーディングされているもので最初のワンホーンものではないかな。
現在入手困難で何処の店でも買えない一枚です。
1997年7月イタリアのPOMIGLIANO JAZZ FESTIVALでのライブ録音です。
ラテン風味のパーカッシブで、流麗なPAOLO DI SABATINOのピアノと、ジェントルブリーズといった具合のボッソのトランペットの対比が面白い1曲目。
ライブ録音のため、ボッソのペットが少々線の細い録音になっているところが惜しまれるが、プレイ自体はいつもの如く硬軟ツボを押さえた乗りの良いところを見せてくれています。
ライブということもあってか、ダーティートーンを使ったりして変化をつけ幅広い表現を試みている。
「BEMSHA SWING」「CARAVAN」とオリジナル作を4曲、全6曲ライブということもあり、長尺のアドリブが楽しめる事も魅力のひとつといえよう。
メンバーはPAOLP DI SABATINO(P)FABRIZIO BOSSO(TP,FLH)PIETRO CIANCAGLINI(B)MASSIMO MANZI(DS)
録音は1997年7月13日 ITALY
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CLARE FOSTER
私は、昨日からご機嫌なのであります。
何故かって、この「CLARE FOSTER/SINGS WAYNE SHORTER」を遂に入手したから。
10年以上前、SJに掲載されている六本木WAVEの広告にこの作品を見つけて直ぐに注文したのだけど、(当時は出張先のホテルからファックスでよく注文したっけ)既に在庫切れであった。
それ以来、何故か一度も中古屋でも出会わず今日を迎えていたのだけど、先日オークションで発見。無事に手に入れることができたというわけだ。
11曲、すべての楽曲にクレアが新たに歌詞をつけて万全の準備をして録音にのぞんだことが窺える。
メンバーも今から見れば、名前の知れているミュージシャンが参加しています。
ピアノがポルトガルのBERNARDO SASSETTIでしょ、サックスがTOON ROOSといった具合。イギリス、ポルトガル、ベルギー、オランダのヨーロッパ混成サポート隊が結成されている。
CLARE FOSTERのボーカルは、ウェインの楽曲に非常にあった声質というか、甘さを排した、それでいてメッセージ性がこちらに伝わってくる素晴らしい出来だと思う。
感情面での表出をたくみにコントロールしたクールな表現が、テクニックのデパートの陥ることなく唄として、作品としてプラスに作用している事を評価したい。
バックもクレアの唄のサポートに留まらず、時に鋭く切り込んでいったり、時に優しく寄り添うようなサポートを見せたり、縦横無尽、スポンティニアスに絡んでいるので、ボーカル+バックというより、ボーカルがリーダーのグループ(6人だからセクステットね)CLARE FOSTER SEXTETという感じです。
収録されている楽曲は以下の通り。
「NIGHTDREANER」「PINOCCHIO」「FEE FI FO FUM」「IRIS」「TOM THUMB」「JU JU」「WITCH HUNT」「WATERBABIES」「YES OR NO」「INDIAN SONG」「INFANT EYES」
10年以上待ち続けた期待を裏切らない出来だと言えば、その良さが最も分かってもらえるかも知れない。
メンバーは、CLARE FOSTER(VO)BRNARDO SASSETTI(P)WAYNE BATCHELOR(B)DRE PALLEMAERTS(DS)TOON ROOS(TS,SS)CARLO ULRICHI(PER)
1993年作品  AMSTERDAM
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BERNARDO SASSETTI
昨日からの続きで、今日はポルトガルのCLEENFEEDから昨年後半リリースされたBERNARDO SASSETTIの最新作にしよう。
ベルナルド・サセッティを聴いた事のある方なら、分かると思うのだけれど、音色の非常に美しいピアニストなのであります。
ベルナルドのピアノを聴くと、水晶の輝きとか、氷の結晶に光が当たったイメージをいつも抱いてしまう。
と、同時に愛と哀しみを背負ったピアニストでもあるのですね。
隣国のスペインと違ってポルトガルの人々は、ラテン民族の陽気さというよりある種の哀しみを持った瞳の奥に思慮深いものを感じるのは私だけだろうか?
私自身、ポルトガルへ行った事は一度もないのだけど何となくそんなイメージが定着してしまっているのです。
サセッティのピアノを聴いているとそのような思いが余計強くなるのだ。

このCLEENFEEDからの第3作目でも、このジャケットのような、暗い部屋から雨だれのガラス越しに厚い雨雲におおわれた外の陰鬱な風景や、日没後の漁港のうら寂しいイメージが湧いてくるのだけれど、サセッティの音楽にはその先の希望の光がみえるのです。
雨はやがてあがり、晴れ渡って部屋には眩いばかりの光が入ってくる・・・
日が沈んだ後はやがて日が昇るように・・・

この作品、トリオとクレジットされているが曲によってはチェロとバイブラフォンがフューチャーされていて、室内楽的なところも少なくないのですがECMファンの方などには喜んで受け入れられると思います。
4ビートじゃなければとか、スイングがなければジャズじゃないというような方には少々きついことは確かですが。
メンバーはBERNARDO SASSETTI(P)CARLOS BARRETTO(B)ALEXANDRE FRAZAO(DS)AJDA ZUPANCIC(CELLO)JEAN-FRANCOIS LESE(VIB)
録音は2005年3月3,7日
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SAX N DRAWBARS
昨日入荷したCOWBELL MUSICからの作品で、卸元にもあまり初回入荷しなかったのか一枚しか入りませんでした。
普通、こんな場合でも注文が入ればすぐにその商品を発送するのですけど、今回ばかりは、ご勘弁願いたい。
私自身が、この一枚は手元において置きたいそんな一枚なのです。
真面目なジャズファンは、眉を曲げるかも知れません。
なんせ、80分の中に50曲も誰もが知っている有名曲が片っ端から演奏されるのですから。
一部を列記するとこんな曲が・・・
「Summer Samba 」「 Charade」 「Billie Jean 」 「A Froggy Day」 「Batucada Surgiu 」 「 Love Story 」 「James Bond 」 「Agua de Beber」 「 I just called to say」 「 Godfather 」 「El Cumbanchero 」 「Lambada」 「 From Russia with Love 」 「 A Man and a Woman 」 「Amazonas 」 「Delilah 」 「 Parador - Besame Mucho 」 「 Chaplin Tango 」 「Pink Panter Theme 」「Masquenada 」 「Birger - Sunny 」 「Third Man Theme 」 「 Brazil 」 「 Tico Tico」
まるでジュークボックスから次から次へと湧き出でてくるように流れてきて聴いているとウキウキした気分になってほんと楽しい。
昨日など、サックス一緒に吹きながら楽しみましたもの。
共演した後は、入浴のお供として・・・
BENJAMIN KOPPELがサックスを吹いたオルガンカルテットなんですけど、はっきり言ってそんな事はどうでもいいのです。
ただ、屁理屈なしに流れてくる音楽に体を揺らしながら楽しんだらよいエンタメ系ジャズミュージックであります。
インナースリーブの北欧のミッドセンチュリーな写真もグッドです!
メンバーはBENJAMIN KOPPEL(AS)DAN HEMMER (HAMMOND ORG)JACOB ANDERSEN(PER)JESPER MECHLENBURG(DS)
録音は1998年10,11月
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KIETH GREKO
すでに活動歴50年を越えるベテランピアニスト、KIETH GREKOの2004年にリリースされた最新アルバム。
キース・グレコというと、1990年初め頃、ノーマからLPレコードで復刻された作品がジャケットがカッコ良かったと思うのでけど、この新作、もう少しジャケット何とかしてほしかったというのが本音のところ。
演奏の内容が悪くは無いだけに惜しいと思います。
マイナーレーベルや自主制作盤の中にはこうした演奏内容は良いのに、ジャケットデザインがパッとしないものが多くてほんと、損してると思います。
CDといっても、パッケージ商品である故、細かいところにも気を使って欲しい(配色やレタリングまでも)というのがファンとしての偽らざる気持ちではないかな?

グレコは、70年代からフェニックスのプレイボーイクラブで音楽監督兼ハウスピアニストとして活躍し、Joe Williams, Clark Terry, Kai Winding, Lee Konitz, Joe Henderson 、Blue Mitchell、Louie Bellson, Bud Shank, Buddy DeFranco, Sonny Stitt, Ira Sullivan, Jon Faddis, Milt Hinton, Richie Cole, Conte Candoli, David Friesen, Mavis Rivers, Clark Terry, Kai Winding, Pete Candoli, Blue Mitchell, Red Norvo, John Stowell, Bob Cooper 、Bill Perkinsら錚々たるミュージシャンとの共演歴をもつ。

エディー・ヒギンズのここ数年の人気ぶりに代表されるように、白人ピアニストにもスポットが良く当たってる状況が続いており、それはそれで大変喜ばしいことなのだけれど、ヒギンズなどはいささか食傷気味になるくらいリリースされていて、はっきり言って騒ぎすぎだと思う。ベスト盤までリリースされるなんて、90年代初めぐらいには考えられなかったと思う。
そして、ダントツにヒギンズが取り上げられているのもどうかと思う。
元来、引き出しがそんなに多いピアニストだとは思わないのでマンネリになってくるのは、目に見えているのだ。ピーターソンやMJQのように偉大なるマンネリもあるのだけれど・・・
白人ピアニストならば、ジーン・ディノヴィやウォルター・ノリスなど素晴らしい才能のピアニストが大勢いる。
このキース・グレコなどもそう。
どちらにしても、何千枚も売られるようなマス販売にはあまり向かないピアニストだと基本的には思うのですよ。
ひっそり、好事家のみが長年に渡って聴き続ける作風な次第で、ヒギンズなど当人にとっては売れて今が人生バラ色なのだと思うのだけど、売れたら売れたで何か違うんだよななぁと感じているファンの方も意外と多いんじゃなかろうか?

その点、キース・グレコは売れていません。
軽妙かつスインギーなうまみ成分はヒギンズに勝るとも劣らない。
グレコのピアノも聴いてみてください。
ひっそりとね!

メンバーはKIETH GREKO(P)WARREN JONES(B)DWIGHT KILIAN(B)DAVE COOK(DS)DOMMOIO(DS)
録音は2003年5月21日、10月21日、11月19日
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NO NAME HORSES
今日は朝からバタバタしていて、ブログに時間をさけるのがこんな時間になってしまった。
トリノオリンピックの為深夜というか明け方までTV視聴で、起きるのが少し遅かったのと、海外発注や、家族の用事などと、昨日、今日と発送のピークが重なった為だといえる。
今からもうひとつ荷物をつくってそれからN山さんからもらったこのCDをじっくり聴くことにしよう。

で、聴いてみてお腹一杯になったという気分ですねぇ!
普通のCD3枚分くらい聴いたくらいのボリューム感がありました。
ビッグバンドの作品では、昨年もフロントページオーケストラの作品がとても素晴らしかったけどそれに匹敵する出来だと思う。
メンバー個々のプレイについて言及するのはやめときますが、各々がチームプレイと個人プレイの役割分担を完璧に把握し、最高の仕事を為し遂げたと言えるんじゃないだろうか?
もちろん、小編成の時にも同様のことはあるのだけれど、大所帯になればなるほど、その事に対する責任は大きくなる。
ほとんどのメンバーがリーダー級のソロイストでありながら、おれがおれがのプレイに走らず、小曽根の音楽を共有し、プロフェッショナルな仕事に徹しているのはさすがだと思う。
こう書くと、面白みに欠けるように受け取られそうだけど、そんな事は全然無くて楽しさに溢れた活き活きとしたビッグバンドジャズが展開されています。

ビッグバンドの作品は、正直言って全体の試聴時間の1%に満たないかも知れないけどこの作品は結構CDトレイの中にほりこみそうな予感がします。
メンバーはNO NAME HORSES
小曽根 真: piano, Hammond B3
エリック宮城、木幡光邦、奥村 晶、岡崎好朗: trumpet, flugelhorn
中川英二郎、片岡雄三: trombone 山城純子: bass trombone
近藤和彦: alto saxophone, soprano saxophone, flute
池田 篤: alto saxophone 三木俊雄: tenor saxophone
岡崎正典: tenor saxophone, clarinet 宮本大路: baritone saxophone, clarinet
中村健吾: bass 高橋信之介: drums

with guests
塩谷 哲: piano on 01, 09
佐野 聡: trombone on 01, 04, 07, 09
安ヵ川大樹: bass on 01, 04, 07
海老澤一博: drums on 04, 07
クラレンス・ペン: drums, percussion on 02, 03, 10

Directed by 小曽根 真
録音は2005年4月5~7日  TOKYO
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CHRIS CHEEK
この作品、ネット上ではイマイチ評判が良くないみたいなのですがどうなんだろう?
アルバムのリリースは昨年11月に知っていたのですが実際手に入れたのは1月末、おまけにその頃ショップで販売する新作が大量入荷した為、どうしてもそちらのコメントを優先せざるを得ず、一段落した狭間にしか一般発売の話題作や個人的に買った作品を紹介できないのがもっかの悩みの種。
一時、毎日ショップ用と個人用両方をアップしようと試みた事があるのですがとても時間的に難しく直ぐに止めちゃいました。
次回入荷まで暫らく間があく(といいつつショップ用のもアップ残が数十枚のこっているのですが・・・)ので買いためCDを随時取り上げます。

トレイにいれて数分後には直ぐに分かった!
これは皆でわざと大衆小説を書いたなと・・・
誰が聴いても直ぐに分かる楽しいジャズ、それを演ったまでのこと。
このアルバムでのチークのプレイを聴いているとスタン・ゲッツの音色に結構似ているのにも気が付く。
3,4分くらいの配分で演ってんのじゃないかと思うほど力の抜け具合が微妙なリラクゼーションを醸し出しているブラッド・メルドーのピアノもこれはこれで悪くない。
どちらにせよ、全員が脱力モードの演奏なのですが、その音楽がスポイルされたものでは決してないと言う事。
で、この同じメンバーで彼ら本来の変幻自在、浮遊系、現代ブルックリンサウンドの最前線を聴けるアルバムがあったとして、どちらを選ぶと問い掛ければ、なんの躊躇もなく後者を選ぶのですが・・・

たぶん、アルバムセールス的には今までのチークのアルバムの中では最大のセールスを記録するとは思います。
メンバーはCHRIS CHEEK(TS,AS,SS)JORGE ROSSY(DS)BRAD MEHLDAU(P,ELP)LARRY GRENADIER(DS)
録音は3月16,17日
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YORON ISRAEL
前作は2000年にオルガントリオにジョー・ロヴァーノを迎えてつくられたと記憶しているけど、この新作も同様の編成でオルガントリオの基本フォーマットにゲストとしてテナーのBILL PIERCE,バイブのJAY HOGGARDが参加した作品です。
それにしても、よくこんなに渋いメンバーばかり集めたものだ!
ギターは今回ED CHERRYときたもんだ。
メンバー各々、実力者揃いなんだけど、スター性に欠けるどちらかというと学究肌のミュージシャンばかりが結集した印象を受ける。
これでは、最初からセールスをあまり期待できないのが分かっているので名の通ったレーベルからのリリースは難しい。
のきなみ、Ronja Music Companyという超マイナーカンパニーからの発表となるのであります。
実際、リーダーのYORONに関しても、今までに様々なアルバムで耳にしているはずなんだけど、特に記憶にのこった印象的なプレイというのがないのだ。
そんな訳であまり期待せずにCDのファクトリーシールを破って聴いてみたのだけど、これが嬉しい誤算というか、予想に反して良かったのですよ!
とくに、JAY HOGGARD とED CHEERYの張り切った情熱的なプレイは、ここ最近耳にした事が無いくらい。
ヨロン・イスラエルもドラマー、リーダーとしての役割を完璧に果たしているといえよう。セッション自体が、緩急自在、起承転結のメリハリがついていて飽きさせない。
決して大風呂敷をひろげるような派手なプレイはおこなわないけど、ピシッと筋の通った小気味の良いドラミングも素晴らしく、演奏が引き締まったものになっているのです。
「AFRO BLUE」「SAYEEDA'S SONG FLUTE」「IMPRESSIONS」「LIKE SONNY」「LONNIE'S LAMENT」コルトレーンの曲を5曲も演っているのは、RONALD MULDROWのアルバム表題曲「BASIC TRANEING」にちなんでなのか、またはその反対なのか?
マイナーで地味なんだけど、美味な作品として推薦いたします。
メンバーはYORON ISRAEL(DS,PER)KYLE KOEHLER(ORG)ED CHERRY(G)JAY HOGGARD(VIB)GUEST:BILL PIERCE(TS,SS)ERNESTO DIAZ(PER)
録音は2003年5月16日
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BABOP
近頃、ピアノトリオやボーカルばかりでバリバリ、ゴリゴリのジャズを聴いていないなぁとお思いの貴方にズバリお薦めのジャズがコレです!
アドレナリンが湧き起こり、元気になれること受け合いです!

バリトン2本で演るから、「BABOP」。
2菅ゴリゴリ系バリトンサックスって、ペッパー・アダムス、ニック・ブリグノラのコンビが有名だけど、この作品は、ゴリゴリ度でそれを上回ります。
COWBELLMUSICの主みたいなBENJAMIN KOPPELだけど、この人日本人で言ったら菊地成孔のように幅広い音楽性を有するサキソフォン奏者のようだ。
実際このレーベルでは、KOPPELの多様な音楽性が記録されているといえます。

このアルバム「BABOP」では剛直球男気100%気合満点のストレートジャズが展開されているのであります。
2曲目「BUMBLE BEBOP」など聴いていると何かせずにおれないような、昂揚感を得られること間違いないです。
元気をもらえます。
轟音一本槍ではなく、波乗りリラクゼーションを兼ね備えているのがこのアルバムのえらいところ。
ほの暗くビタースイートで、ハードボイルドなバラードの「BEFORE THE CONCERT」を聴くにつれ、このアルバムが素晴らしい作品なのを確信するでしょう。
自身のアルバムでは観念性の高い、ややひねくれたプレイが鼻につくJACOB ANDERSKOVもここでは実にストレートアヘッドなキーワーク使いを見せてくれています。
全体的に実にカッコ良くスマートで、チョイ悪親父のような不良性も感じられるところがとても良いこの作品、ズバリお薦めです!
メンバーはBENJAMIN KOPPEL(BS)JESPER LOVDAL(BS)JACOB ANDERSKOV(P,ELP)
JONAS WESTERGAARD(B)KRESTEN OSGOOD(DS)
録音は2004年2月
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TRUMPET LEGACY
ボッソのアルバム、これで何枚目になるのだろう?
軽く20枚は越えているはず。(参加作を含む)
思えば、1998年にSCHEMAからでた「UP UP WITH THE JAZZ CONVENTION」を聴いて以来だから既に7年以上経つわけだ。
最もその頃は現代イタリアの若者もなかなか活きの良いハードバップをやるなというくらいの認識で、実際ボッソの名前がしっかりと心の中にインプットされたのは、初リーダー作「FIRST FLIGHT」を聴いてから。

で、ここ1,2年ようやく日本でも騒がれるようになって少しボッソ熱も冷めてきてもう、他の人に任しておいていいかなと思っていた(先物買いをポリシーにしているというか反骨精神が強いというか、ひねくれているというか世間一般に広まり認知されたら熱が冷めるという傾向が私には昔からあるのです。)矢先、このアルバムのリリースが決まったのです。
そんなわけで、このアルバムもパスするつもりだった、最初は・・・
ブログ仲間のnaryさんが、とても褒めていたものだから、やっぱり買っとこうと思いたち仙台DNへ、通販の追加を入れたのです。

やっぱり買って正解でしたと言わざるを得ない作品です、これは。
ツートランペットの名盤というと、フレディー、モーガンの「ナイトクッカー」が真っ先に思いつくのだけど、時代の違いから当作のほうが、すっきりとして作品としての完成度は高いと言えるでしょう。
ボッソの魅力に関しては、語り尽くされている感があるけど、私が2004年7月17日に始めたこのブログで真っ先に取り上げた「JAZZ DESIRE」のレビューでも述べた通り、「コクがあるのに、キレがある。」こと。

ボルトロもボッソに比べるとやや地味な感は否めないけど健闘しています。
ちなみに、ボルトロの今までの最高傑作は「FLAVIO BOLTRO QUARTET/FLABULA」(1991年 PENTA FLOWERS)だと思います。
このブログで、2004年12月に確か取り上げたと記憶するけど、是非一度聴いてもらいたいワンホーンのアルバムです。

PHILOLOGYあたりのサイドメンでの作品のリリースが非常に多いボッソだけど、(ジャンニ・バッソとのクインテット作が2W,アントニオ・カルロス・ジョビン集など)いっそのこと、アメリカへ渡ってひと暴れしたらどうだろう?
ヨーロッパと日本だけでなく、そろそろ世界的な活動をする時期に来ていると思うのだ。
メンバーはFABRIZIO BOSSO(TP)FLAVIO BOLTRO(TP)LUCA MANNUTZA(P)LUCA BULGARELLI(B)LORENZO TUCCI(DS)
録音は2005年10月3,4日
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HAYES GREENFIELD
このアルバムのリーダー、HAYES GREENFIELDのことは、おそらく誰も知らないだろう?
私も仕入れて、初めて知ったサックス奏者なのですが、今でもこのような70年代マナーのサックスを吹くミュージシャンがいたのを逆に嬉しく思って仕入れてみたのです。
サイドメンがDAVID BERKMAN,CAMERON BROWN, MARK JOHNSON,ゲストとしてJOE LEE WILSONが加わっているのも仕入れの後押しをした。
とにかくサウンド的にはマッコイ・タイナーの「サハラ」や「アトランティス」あの辺りの音を思い浮かべてもらえば、わかってもらえるのではないかな?
体力主導型激情ジャズが展開されている。
そう思って聴くとサックスの音がソニー・フォーチュンに聴こえないこともない・・・
全編そういう音楽だと、この世の中受け入れられにくいとグリーンフィールドも心得ているのか、自然賛歌調の曲やバラードナンバーも挿入されているのでご安心を。
4曲目のバラード「MY EILEEN」はなかなか聴き物です。
そして、黒人男性ジャズボーカルの宝、JOE LEE WISONのボーカルを6曲目で聞くことが出来る。
ほんのワンフレーズ唄っただけで、音楽がブルース色に染まり、怒涛の時代を生き抜いてきた黒人にしか出せない本物の味はさすがとしか言いようがないですね。
7曲目もサックス奏者だったら、自分でも吹いてみたくなるような、ちょっといい曲。

全体的にグリーンフィールドの頑張りは良く分かる。
なんだけど、現代の主流からはちょっとズレてるのだなぁ。
はっきり言って古臭いのである。70年代してるのであります。
当の本人はそんなこと全く気にもしていないだろう。
ゴーイング・マイ・ウェイ。
やたら、シーンに気を使った作り物の音とは違い、グリーンフィールドの音楽には本物のよさがある。
きっと、イイやつなんだと思う。
メンバーはHAYES GREENFIELD(AS,SS)DAVID BERKMAN(P)CAMERON BROWN(B)MARK JOHNSON(DS)TRICIA WOODS(P)TOM HUBBARD(B)
録音は2003年3月7日  NY
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MARC JOHNSON
マーク・ジョンソンの2005年リリース、オールスターメンバー作品。
オールスターといってもさすがECM,品のない日本企画盤と違っておざなりのセッション盤になっていないところはさすがというべきか・・・。

今日の、多様化する一方、グローバル化するジャズシーンにおいて、これが今のジャズのスタイルであると、決め付けるのはとても無理があり、独断と偏見にみちた考察ととって頂いても結構なのだけど、無理を承知で言うならば・・・

現代ジャズで、魅力的な光を放射している新たな集団はブルックリン派の面々といっても良いだろう。
ここで、いちいちメンバーの名前をあげるのはやめるけど、彼らのサウンド指向、音を巧みにコントロールするクールネス、サウンドが揺るぎ感、浮遊感覚をともなう振幅度の強い(相対的に)演奏は、それまでのスタイルと一線を画するユニークでオリジナルなものとして認知されるに至っているのであるまいか?
マリア・シュナイダー一派、ジャズコンポーザーズコレクティブの面々や、シアトル派、北欧のミュージシャン、クリスクロスのような比較的保守的なレーベルとの関わりなど彼らの音楽活動は異なったスタイルとも柔軟に交流、関係していると言えよう。
そのブルックリン派(念のために言っておくけど、これはサウンドスタイルを便宜上、差別化する為の造語であります。誰が最初に言いはじめたのかわからないけど。)のミュージシャンが畏敬の念を持って接し、慕っているのがポール・モチアンやジョー・ロバーノなのである。
それまで既存のジャズにおけるプレイ指向、ソロ指向とは違った角度から演奏に取り組み、新たな色を付け加えている点に、独自性を感じ取り、当時NYブルックリンに住んでいた若手ミュージシャンが指向したニューモードの総称がブルックリン派だと言えよう。

このCDのことにふれていなかったけれども、ビル・エバンスつながりとも言えるマーク・ジョンソン(彼もまた幅広い音楽性の持ち主),モチアン、ロバーノらが彼らブルックリン派の面々にだした模範解答のように私には聴こえる。
限られたセッションの時間内で、どれだけ自身の持ち味を活かしながら全体のサウンドを総括できるか、そんな風にも聴こえるのです。
メンバーはJOE LOVANO(TS)JOHN SCOFIELD(G)ELIANE ELIAS(G)MARC JOHNSON(B)JOEY BARRON(DS)ALAIN MALLET(ORG)
録音は2004年1月2月 AVATAR STUDIO, NY
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JIM WATSON TRIO
今年にはいって3回目の入荷になるのだけど、常に品切れ状態で、実は今日ようやくジックリと聴くことが出来るのです。
はしょって聴いて、これはいいんじゃないかと感じたのですね。
ちょい聴きで、良いと感じさせるのは、筆圧の強さがあるということ。
そして、明解で分かりやすい筆使いである点、軽やかで華やかさも感じられる。
もちろん、全部が分かるわけではなくてもっとジックリと聴き込んでみたいという未知の部分があるのは言うまでもない。
オーソドックスで平易な表現と70年代以降のモダニズムがいい塩梅で同居しているといったらよいか?
紹介が遅れてしまったけれどJIM WATSONはイギリスの若手ピアニストで、着実に実績を積み重ねている存在だあり、今までにLalo Schfrin, Guy Barker Gary Moore, James Taylor Quartet, Bud Shanks Patti Austin,Ann Hampton Calloway ,Platypus'(Gerard Presencer) New York voices, Bobby Watson, James Moody Javon Jackson, Herb Geller,Claire Martin, Dave O' Higgins Julian Arguelles Clark Tracey, Alan Barnes, Peter King, Jean Toussaintなどとの共演歴がある。
この作品がデビュー作であり、これからの成長が楽しみなピアニスト。
収録曲もオリジナルとチック・コリア「THE LOOP」パウエル「HALLUCINATIONS」ゴルソン「STABLEMATES」と「恋の味をご存じないのね」「EVERYTHING I LOVE」等とても良い。
ちょっと聴いても良いと思わせ、ジックリ聴きこんでも良さが持続し、また明日も聴いて見たい思わせる結構懐の深いものを持っているピアニストと見た。
シンバルのシンシンとなる収録音も良くてオーディオファンも納得の録音ではないでしょうか?
メンバーはJIM WATSON(P)ORLAND LE FLEMING(B)TRISTAN MAILLOT(DS)
録音は2001年 夏
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HERLIN RILEY
あいかわらず活発なレーベル活動を続けているCRISS CROSSだけど、特に我が国ではその王道をいく制作ぶりを支持するファンが多くて根強い人気を誇っているといえます。
私は、実は久しぶりに買いました。一時は番号順に買い集めていた時もあったのだけど・・・
歴史的な傑作も生まれないけど、カス掴む可能性がなく誰が聴いても一定の満足感が得られる安全保障マークをもっているのがこのレーベルの特徴といえるでしょうか?
ウイントンの名前をサイドメンで発見したのが購買動機です。
HERMAN RILEYの名前はウィントンのバンドで初めて知ったのだけど、この人他のバンドでの活動は、あるのだろうか?
このアルバムは、1曲を除き全部自作で固めいているのだけど、ライリーの音楽性そのものがウィントンに近似しているのか正直言ってあまり独自性が感じられないのだ。
ウィントンの曲といわれても納得するような楽想のものが多くて、ずっとウィントン指導のもとで活動してきたので作曲まで似てしまったのかと勘ぐってしまう。
演奏メンバーもウィントン一派なので、同じ様なサウンドになるのは仕方が無いともいえるのだけど、もっとウィントンのバンドとは違う面を見せてほしかったというのが正直なところ。
かといってこのアルバム、ひどいものではなく、むしろ内容はいいと言える。
ソロプレイは各人あまり文句のつけようがない、素晴らしいもの。
ウィントンと少しラフなVICTOR GOINESのフロントの対比も良い感じ。
それでもだ、ウィントンとの音楽性の違いを見せて欲しかった。
せっかくのリーダーアルバムなのだから・・・
全編、8曲目「DANCING WITH DESIRE」みたいな調子で演れば良かったのだ。
ボスがいるとかしこまってしまうのだろうか?
いっそのこと、ウィントン抜きで、もっと不良性に富んだラフで普段着の会話を見せて欲しかったなぁ。
メンバーはHERMAN RILEY8DS)WYCLIFFE GORDON(TB)WYNTON MARSALIS(TP)VOCTOR GOINES(TS,SS)ERIC LEWIS(P)REGINALD VEAL(B)
録音は2004年10月10日  SYSTEM TWO SOUND STUDIOS, BROOKLYN,NY
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BLUE CONNECTION
1995年、DRAGONからリリースされたペーター・ノルダール中心とした好セッション盤。レア本掲載以来、やはり人気なのか売れ行き好調(うふふ!)でこれが再々入荷となります。
ペーター・ノルダールを初めて聴いたのは7,8年くらい前になるだろうか?
特に強烈なテクニックや個性を持っているとは言いがたいのだけれど、棚からよく取り出して聴くことに気付いた。
これは何でなんだろう?
ヨーロッパの一般的なピアノトリオのイメージが無いにもかかわらず、響きは北欧の淡い光を感じさせるような柔らかいテイストがあり、フレーズが分かりやすく歌っていることが要因かもしれない。
そこには、淡いながらもしっかりと地についたバップテイストが感じられる。
長時間聴いても聴き疲れすることがなく、腹一杯になるという事がない。
ははーん、原因はこれだな。
しっかりとしたジャズ心を感じさせる伝統的な表現技を満喫できながら、50年代60年代のピアニストのような粘っこさというか、重さを感じさせない点。
軽いというのではない、淡いのである。ノルダ-ルの場合は。
このセッション盤は、そんなノルダ-ルの音楽性がそのまま、一枚のアルバムにまとめ上がった様な感じです。
4曲で3管のセクステット編成とコンガを加えたカルテットに大別されるがどちらも、過度な表現ではなく、淡いハードバップテイストが感じ取れる好セッションが収録されている。
エンドレスでかけていても疲れることが無く、飽きることが無い好セッション盤。
メンバーはPETER NORDAHL(P)PATRIK BOMAN(B)HENRIK WARTEL (DS)RUNE CARLSSON(CONGAS)LIEF WENNERSTROM(DS)FREDRIK NOREN(TP)ANDERS NORELL(TB)TOMMY KOVERHULT(TS)
録音は1994年9月28,29日10月2日  STOCKHOLM
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WYNTON MARSALIS
昨日の朝、届きました。注文してたったの3日で、NYのブルックスブラザーズから。
送料になんと50ドルも払っているので、それくらい当然といえるかもしれないけど。
先月号のSJ(たまには有益な情報も載っているのだ。)でこの限定オリジナル盤がリリースされていることを知って早速注文してみた次第。
こちらの作品は、リンカーン・センター・ジャズ・オーケストラのピックアップメンバーによるもので、基本的にBILL CHARLAP(P)CARLOS HENRIQUEZ(B)HERLIN RILEY(DS)のトリオにサックス、トランペット、トロンボーンの各ソロイストがフューチャーされるといったもの。
1曲目から順にこんな具合、WYNTON MARSALIS(TP)JOE TEMPERLY(BS)RAYAN KISOR(TP)WALTER BLANDING(TS)BILL CHARLAP(P)ANDRE HAYWARD(TB)TED NASH(AS,TS,FL)RONALD WESTRAY(TB)WESS ANDERSON(AS)CARLOS HENRIQUES(B)VINCENT GARDNER(TP)MARCUS PRINTUP(TP)VICTOR GOINES(TS)
ソロ奏者とリズムセクションのカルテット編成なので各人のアドリブがしっかりと味わえる仕掛け。
13人のソロが楽しめるのだけど、私はWESS ANDERSONの「LET'S US PRAY」での演奏が最も気に入りました。
アドリブはほとんどとっていない超スローナンバーなんだけど、ものすごく「ジャズ」を感じさせる1曲。
この一曲でアンダーソンの存在が私の中で急上昇したといっても良い。
見直しました。
皆さんのお気に入りや如何に?
録音は2003年8月23日
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LCJO
こちらは、オーケストラによるデューク・エリントン集。
実は、エリントンといわれると、最も弱いところをつかれたようで・・・エリントン自体の演奏を、今まで30年間ほとんど聴いた事が皆無に等しいのです。
曲はもちろん、代表的なナンバーを色々なプレイヤーが演奏しているので結構聴いているのだけど、エリントンオーケストラ自体の絶対的な試聴時間が不足しているので、このLCJOをそれと対比して感想を述べる事が出来ない。

エリントンといえば、大学時代の遠い先輩で昔レコード屋を経営されていたOさんは、エリントンのSPレコードだけで、何百枚と所有していたと伝え聞く。
自他ともに認めるエリントン研究家としてその筋では有名なお方だ。
今はレコード屋もやめて、楽隠居をされ、それこそエリントン三昧の生活を送られているのであろうか?
だとしたら、素晴らしいジャズライフではないかと思う。
私のように何でもかんでも手当たり次第新しいもの、興味をどんどんひろげていく聴き方があれば、Oさんのように、1人のアーティストを一生かけて聴きこんでいくジャズライフもあるわけだ。
どちらにしても、中途半端はいけません、やるからには脇目も降らず徹底的に、それだけ情熱をかけて聴いていきたいものですね。
おっとー、いけねい。話が脱線・・・

「リジェンダリー・オブ・ジャズ」
元来、リンカーンセンタージャズオーケストラが結成された理由は「ジャズ遺産の継承」が目的ではなかったかと思う。
100年以上の歴史を持つジャズの遺産、財産に今一度スポットを照らし偉大なる唯一無二のアメリカ大衆音楽としての「JAZZ」を伝承、継承していこうというコンセプトに他ならないと考えている。
この試みはウィントンならびにオーケストラの献身的な努力によって現在まで途絶えることなく運営され、成功していると言ってよいと思う。

ただ、不満もあるのだ。
村上春樹がウィントン・マルサリスのジャズはつまらないと書いていたが、おそらくそれは、ウィントンの教条主義、権威主義的な部分を見てのことだと思う。
このLCJOなど、そのものズバリだからだ。
そして、実際の音楽と現在のLCJOによる再現は、音楽的な部分は別にして、社会環境の変化においてミスマッチを起こしてしまっているのは仕方がないこととは言え、どうしても博物館でガラスの外から素晴らしい美術品を鑑賞している気分になってしまうのだ。
淫売宿やダンスホールで鳴っていた音楽を、エスタブリッシュされた観客相手に、最高の音響設備が整えられた豪華な専用音楽ホールで演奏する事に・・・

そのことを抜きにすれば、LCJOはこの作品でも最高の音楽を提供してくれている。
録音は1999年から2003年
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PHIL De GREG
レア本掲載のピアニスト、PHIL DeGREGの2005年トリオ新作。
トリオと言っても、ピアノ、ベース、ギターの編成なので、通常のピアノトリオファンの関心はここで大分それてしまうかも知れない。
ちょっと、待ってくださいと言いたい。
今日でこそ、ピアノトリオというとベース、ドラムの編成が当たり前というかそのフォーマットこそピアノトリオという呼称ぐらいに定着しているけど、昔はピーターソンのトリオやナット・キング・コールの例をあげたら分かるように、ドラムの変わりにギターが加入する編成が珍しくなかった。
何故、そんな風にドラムに取って代わられたのかは、ちょっと考えてみれば分かると思う。
主役は2人いらないのですよ。ピアノとギターはともに、ソロにも向いているし、コードもリズムも数ある楽器の中で最も柔軟に対応できる表現領域の高い楽器なのは分かっていただけると思う。
その主役をはれる二人が共演すれば、衝突するのは目に見えているのですよ。
ギターリストのコードカッティングとピアニストの左手のコードとリズムに対する解釈のズレが・・・
つまり、ギターは、ギタートリオ、ピアノは現在のピアノトリオにそれぞれドラムを加えることによってサウンド的にすっきりとした交通整理を行ったんだと考えたらよいのだと思う。
それを逆手にとってジム・ホールとビル・エバンズは「アンダーカレント」というアルバムで青白い閃光が飛び散るしのぎあいを見せてくれたわけですが・・・

そのような、不利な条件、[セールス面においても(特に日本では)]での編成にもかかわらず、このCD,プロデューサーの自宅で、短時間に約CD2分の曲が収録されたそうで、如何にスムースに録音が進行したのかがお分かりいただけよう。
最初にあげた心配はほとんど無用だったようだ。
三者がお互いのプレイを良く聴いた調和に溢れた演奏、大人のプレイといったらよいのでしょうか、決して手抜きをしたり、手数を抑えているというわけではなくプレイヤー間の会話が生々しく録音されている。
デンジル・ベストの「MOVE」なんて今では誰も演らない曲をとりあげてくれているところなども嬉しいではないか!
メンバーはPHIL DeGREG(P)DAN FAEHNLE(G)PAUL KELLER(B)
2005年作品
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ADAM& DAREK CZERWINSKI
本日、大量に新譜が入荷しました。
ピアノトリオ以外でこのブログをご覧頂いている皆様に関心を持っていただけそうなブツから紹介していく事に致します。
まずは、 DAREK OLESZKIEWICZ (ダレク・オレシュキェヴィッチ)の新作。
クリプトグラムフォン から以前リリースされた「LIKE A DREAM」はブラッド・メルドーの参加で結構話題になったけど、今回もちょっとメンバーは少し渋めになっちゃいましたけど、内容は前作に勝るとも劣らないことが期待できそうな面々。
LARR GOLDINGSに、LARRY KOONSE,ドラムがADAM CZERWINSKIとなっています。
ダレクのソリッドでピッチの正確なベースは、この作品でも健在ぶりをみせていて、特にソロをとる場面が多いというわけでもないのにアルバム全体を取り仕切っているのはダレクのベースなのですね。
ラリー・ゴールディングスとラリー・クーンスの両ラリーもリラックスした中にもピリッと隠し味の効いた心憎いプレイに終始し、アルバム全体に渡って貢献している。
とりたてて目新しいことを演っているわけでもないのに、新鮮さを感じるのはきっと、曲調のバラエティーさとアンチコテコテサウンドのせいか?
ハモンドにギター、ドラムでマイナーブルース演れば、多かれ少なかれ黒っぽい感じになるものだけど、それを不思議と感じません。
澄み切った空気感、晴れ渡った青空を見上げるような爽快感がアルバムを通して感じます。
もちろん、集められたプレイヤーの音楽特性もあるのだけど、こういう音作りにダレクのディレクションが働いているのだと思う。
全体にリラックスしたグルービーで快適なセッションなのだけど、それだけに終わっていないところが凄いと思います。
個人的には2曲目のジャズロック調「RAINDANCE」から4曲目ヨーロピアンロマンって感じの「INSPIRATION」までが好きですね。
メンバーはLARRY GOLDINGS(ORG,MELODICA)LARRY KOONSE(G)DAREK"OLES"OLESZKIEWICZ(B)ADAM CZERWINSKI(DS)NOLAN SHAHEED(COR)
録音は2005年2月21,22日 PASADENA,CA
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SAM MORRISON
ジャズファン全員がその存在を忘れているのではないかと思われるなんとSAM MORRISONの2005年新作。
3年ほど前、イーストウィンドの「砂丘」が紙ジャケ復刻されたけど、ずっと現役で活動していたのは知りませんでした。
この人、こんな黒つぽいサックス吹いていたっけなと思うほど、アーシーなサックスが聴かれる1曲目。
まるで、スタンリー・タレンタインかジョン・スタブルフィールドが吹いているかのようだ。そこに燻り具合がジョーヘンの要素が含まれているかな。
2曲目からは、アルバム全体が70年代の終わりにATLANTICからリリースされたスティーブ・グロスマンの裏名盤「PERSPECTIVE」のようなサウンドが展開される。
あれほど、熱狂的でファナティックな切羽詰まった感じはないけど、これはこれで良いのではないかな。
とにかく、思い切り良く吹いているところがイイですね。
3曲目はボーカル入り。昔、フィリス・ハイマン(「電車で轟」のfunky_alligatorさんがよく研究会でかけていたっけ)やラニ・グローブスのようななかなか都会的でアジのあるボーカルが聴けます。クレジットを見るとなんと元マンハッタン・トランスファーのローレル・マッセではないですか!

4曲目まで聴き進んできて、懐かしい気分になっている自分に気付いた。
サウンドが70年代後半から80年代初頭の音なのである。
そうそう、中村照夫ライジング・サン・バンドで聴かれたようなサウンド。
フュージョンサウンドの分類になるのあろうけど、ラフで自由、暖かく都会的な感覚も充分持ち合わせている。
古いんだけど、好きだぞ俺は、この音楽が!
メンバーはSAM MORRISON(TS,AFL)MICHAEL WOLFF(P.KEY)JEFF CLAMPA(G)MARK EGAN(ELB)JOEL ROSENBLATT(DS)JEREMY WALL(SYNTH)LAUREL MASSE(VO)ANGUS RICHARDSON(VO)他
2005年作品
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MIKE MELITO
メンバーがGRANT STEWART、JOE MAGNARELLI,DINO LOSITOと、まるでCRISSCROSSの新作?と思うような顔ぶれ。
ジャケットデザインまでクリスクロスに似ているんではないの。
飛び出してくる音もまさにハードバップ一直線といった感じでそのど真ん中ぶりに、思わず微笑んでしまう。
グラント・スチュアートは以前思っていたより野太く男性的なイメージで迫り、デクスター・ゴードンを彷彿させない事もない。
10年以上前にでたデビュー作の1曲目なんかは、ロリンズしてましたが・・・上っ面が似通っているだけで、薄っぺらさを感じさせたこともなかったがここではどうだろう?
ものの見事にハードバップの魂を消化しきった音を発しているではないか!
JOE MAGNARELLIにしてもそう、上手いだけど以前はこんなに深い感情表現をするプレイヤーではなかったと思う。
2人はこの10年ちょっとの間に確実にホーンプレイヤーとして成長してきた事が分かる。
個人的には3曲目「BELLA CAROLINA」が気に入っています。
ダスコ・ゴイコビッチが作りそうな哀愁系美メロハードバップナンバーであります。
リーダーのドラマーMIKE MELITOの名前はいままで知らなかったけど、20年以上ニューヨークで活躍しているという。
James Moody, Barry Harris, JR Monterose, Joe Romano, Gene Bertoncini, Chris Potter, Eric Alexander, Steve Turre, Fred Wesleyなど名だたるミュージシャンとの活動経験をもつ中堅ドラマーといったところか。
斬新なドラミングをするタイプではないけど、堅実で職人気質のドラマーというところか?
日本でいえば、渡辺文男やモンティー小林に相当する存在なのかな?
メンバーはMIKE MELITO(DS)GRANT STEWART(TS)JOE MAGNARELI(TP)DINO LOSITO(P)NEAL MINER(B)
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